2019年11月5日火曜日

視覚障害者のカラオケの味方「OTO-Mii」現る

 先日、株式会社シンクパワーさんがAppStoreで無料配布しているアプリ「OTO-Mii」に、視覚障害者がカラオケに行く際に役立つ機能が追加された。  筆者は、早速このアプリをインストールしたiPhoneをもってカラオケに行ってきた。この記事では、このアプリの特徴や使い方などをレポートする。(初出:2019年11月1日)  なお、この件はmusicmanなどで記事になっているようだ。

このアプリでできること

  • 歌詞を手元のiPhoneで読める
  • 歌いだしを合わせれば、その後タイミングよく歌詞を先読みしてくれる。画面でも、今歌っているところをハイライト表示・自動スクロールしてくれる
  • 曲名・アーティスト名・アルバム名・歌詞の一部などでの組み合わせ検索が簡単にでき、その結果を用いてJOYSOUNDのカラオケシステムに曲を予約できる

なんといっても、「歌詞をタイミングよく先読みしてくれる」点が素晴らしい。これを使えば、今どこを歌っているか見失うこともなくなる。もちろん、右フリックをし続ける手間もない。

さらに、弱視の方にはうれしい文字拡大やダークモードの機能も付いている。こちらはアプリ起動後、画面右下の設定タブを覗くとよい。

動作要件

  • iOS 9.0以上が必要。
  • 筆者が試した範囲では、iPadでも利用できた。

使い方のポイント

このアプリはVoiceOverを試用して正しく操作できるように工夫されている。とはいっても、あくまで晴眼者の利用を前提に開発されているため若干分かりにくい点もある。

そこで、VoiceOverでのiPhoneの基本操作が問題なくできる方を前提に、操作のポイントを紹介する

カラオケ店に行く

  1. iPhoneにOTO-Miiと、キョクナビをインストールしておく。DAMのお店ならキョクナビの代わりにデンモクだが、これはあまり推奨できない。
  2. カラオケのお店にiPhoneを持って出かける。このとき、お持ちのiPhoneと接続できるイヤホンの持参を推奨する。長時間なら充電の用意もお忘れなく。
  3. 部屋は、「JOYSOUND」の部屋をリクエストする。DAMの部屋を選んでしまうと、後で手間が増えるので注意。
  4. 長くなるので詳述しないが、JOYSOUNDとiPhoneの接続作業をしておく。慣れていない方は店員さんにお願いするのもありだと思う

曲を検索する

  1. アプリ起動後最初の画面に、曲名・アーティスト名の入力ボックスがある。ここに文字入力を試みると、自動的に画面は検索タブを選んだ時と同じものに切り替わる。ここで、タイトル・アーティスト名などを入力する。全てひらがなで入力すれば、よみでの検索もできる(歌詞は読みでの検索不可)
  2. ※最初の画面には「音楽認識」ボタンがあり、このボタンを押すとマイクで周囲の音を拾い、流れている曲と歌詞のタイミングを自動でセットしてくれる。だが、カラオケ店舗で流れる音源はCDなどで発売されているものとは異なるためうまくいかない。カラオケでの利用の場合、曲はキーワードを入れて主導で検索するしかない。筆者と違って音感に自信があるという読者は、ハミング検索機能を試すのもよいかもしれない。

  3. 必用なキーワードを入力後、検索ボタンを押す。 検索ボタンは、画面右下にある。キーボード表示中もこのボタンを押せるよう、キーボードが表示されるとボタンはキーボードの少し上のあたりに移動する。

  4. 検索結果画面で、お目当ての曲を選ぶ。ここでは、キョクナビ・デンモクなどと違って「曲名の五十音順」で表示されるので注意。

  5. 曲を選んだら、画面を少しスクロールして、「JOYSOUNDカラオケ予約」をタップする。キョクナビアプリに切り替わるので、曲を予約する。予約ができたら、画面左上の「OTO-Miiに戻る」をタップして戻ってくる。

歌詞を先読みで聞きながら歌う

  1. 画面を上にスクロールして、楽曲の歌詞が読み上げられる部分をタップする。画面を広く使って歌詞を表示する画面になる。

  2. 初回のみ、ここで歌詞の先読みをONにするボタンを押す必要がある。画面下部(広告の上)の中央付近に「先読み」ボタンがあるのでこれを一度タップしてONにしておく。

  3. 画面上には歌詞が書かれているので、歌いだしを確認する。カーソルはその位置にしておく。

  4. 部屋のスピーカーから曲が流れたら、歌いだしのタイミングでその部分の歌詞をダブルタップする。なお、ダブルタップをするということは、VoiceOver環境下ではトリプルタップをすることになる。

    ※iOS13.2以降では、操作が変更されています。ダブルタップを行うためには、1本指で4回タップする必要がありそうです。(11/5追記)

  5. 後は、放置していればタイミングよく続きの歌詞を自動で読み上げてくれるはずだ。タイミングや速度の調整は最初の画面の右下「設定」タブから行える。また、歌いだしを合わせるタイミングは数回練習すればすぐに慣れるとおもう。

その他、便利な機能やおすすめポイントなど

  • マイリストへの楽曲追加と、リストからの曲の呼び出しの機能があるので活用したい。
  • スリープへの意向を抑制する設定をしておくとよい。
  • いろいろ問題はあるが点字での出力もされる(iOS13.0~13.1はバグにより表示されないので注意)。

ありそうな質問と答え

Q.JOYSOUNDカラオケ予約ボタンがないのですが?

A.「リリックジャンパーで曲を分析する」と読み上げしてしまう場合があるようだ。11月12日に再現手順が判明したので、開発元に報告済みである。次回アップデートで修正される見込みとのことだ。とりあえずは、一度前の画面に戻って開きなおしてほしい。画面を一番下までスクロールした場合に発生するので、上から順にボタンを探すとよい。

Q.読み方・点字表示がおかしいのだが?

A.基本的には漢字の歌詞をVoiceOverが読んでいるだけなのであきらめてほしい。ただ、このアプリには「読みの登録」機能がある。これを使って誰かが登録してくれると、以後みんなが正しく読めるようになる。なお、この登録作業をVoiceOver環境下でやるのは簡単ではない。

Q.JOYSOUNDアプリ側で曲がないって言われたのだが?

A.微妙な表記ゆれなどの影響で希に発生するようだ。残念だが、あきらめてJOYSOUNDアプリで改めて検索してほしい。どんなキーワードの時に起こるのかわかったら開発元に報告したいのだが、筆者は法則の解明に至らなかった。

Q.DAM(デンモクアプリ)には連携しないの?

A.JOYSOUNDは外部連携アプリの作り方を技術者向けにウェブで公開してるけど、DAMにはそれがないので当面無理そうだと思う。

Q.VoiceOver下で表示文字サイズの設定をしたら反映されなかったんですが?

A.これはバグ。開発元に報告済みで、次回アプデ時に修正されるとのこと。とりあえずは、上下フリック以外の方法でスライドバーを操作すればよいとのこと。最大ボタンを押すとか、ダブルタップホールドして左右に動かすとか。

おわりに

以上、簡単ではあるがアプリの魅力と最低限の使い方を説明した。わかりにくい点や質問などあれば、お寄せいただきたい。時間を見つけて記事を更新する。

皆様のカラオケライフのお役に立てそうであれば幸いだ。このアプリの知名度はまだまだ高くないので、お知り合いにも広めてほしい。

それでは、またいつか。

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